10.2.13

Berlinale --- Indonesia

インドネシアの映画を2本観ました。

まずひとつめが"The Act Of Killing"








インドネシアのFree Man、Anwar Congoのドキュメンタリーfilm。
ちなみに<Free man>とは、インドネシアで呼ばれているやくざ(Gangstar)の呼称。

国軍と共産主義の対立が激しいインドネシア。中でも歴史的な1965年にAnwarは国軍と組み1年以内に約1万人を超える共産主義者や華民を虐殺。彼自身の手でも100人もの何の罪もない人々を殺している殺人者。そして、右翼兵組織の建国の父として称えられてるのです。彼が平然と街中を歩き、お酒を飲んで歌って踊れる国...
弱いものからお金を巻き上げ、払えない人間は殺す。そんなことが許されていいの?って咎める歴史も何もない。大量虐殺OK!っていう"社会的"ルール本を作ったのは彼らなのだから。テレビの番組でモラルって何ですか?ってジョークを飛ばせる、そんな歪んだ社会基盤の表面に、権力を持った心ない人間がただただ上塗りしていく血と不平等の酷い色。


この映画はただ彼とその友人たち<殺人者>のドキュメンタリーではなくて、映画大好きなAnwar達に実際に自分たちの歴史の映画を作ってもらう、というもの。殺人者も被害者も全て彼らが演じる。歴史を振り返って、はたまた被害者の役を演じて彼らが何を感じ何を思ったか...そこはかなり興味深かったです。

そしてこの映画でちょくちょく映し出される「一人の人間」としてのAnwar Congo。
観てるワタシは結構混乱。
だって、あるシーンでは孫をかわいがるチャーミングなおじいちゃんなんだもの...


そんなわけで、殺すという行為を考える、国というものを考える、モラルを考える、人間を考える、で、結局何を感じた?って自分のこともちょっと考える映画でした。

おすすめ。






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さ、ふたつめが "Something in the way"


孤独な男Achmedが主人公。夜間のタクシードライバーの彼の唯一の楽しみが自慰行為。
テレビの前、もしくはこっそりタクシーの中で毎日ただそれを繰り返す。休みの日にはモスクに通い、モラルやコラーンの重要性について学ぶ。そんな彼がある日、娼婦Kinarに恋に落ちて...

っと、あらすじはまあよくあるような話。
で、そこに絡んでくるのが、彼自身の純粋さや宗教的モラルと製品としてのセックス。それによって混乱していく彼の心理的動向やそれが招いた結果が、もーう、やるせない切ない儚い。

観た直後は「うーん」と思ったけれど、余韻に浸ってるうちになんとなくしっくりきた、そんな映画でした。


若手新人監督によるこの映画。
そんなワタシ世代の描く、エクストリームな現代社会の心の動きを捉えた一作だなあと思いましたのでした。




インドネシアに全然関係ないけど、sex addiction繋がりで思い出した"Shame"という映画。
2年?くらい前にハンブルクの映画館で観たかな。
これ、良い映画です。












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