2.11.12

体に良い小麦とな

みなさま、Spelt小麦をご存知ですか?
お恥ずかしいことにワタシはつい先日この小麦の存在を知りました。


そう、ロンドンでふら〜と入ったお店が、このスペルト小麦をメインで使ってたんです。





スペルト小麦とは、現在の品種改良の進んだ小麦の原種で、古代穀物のひとつ。
少量のグルテンなのに対して質の高い不飽和脂肪酸とビタミンB類、ビタミンEが豊富なんですって。
健康食品オタクのワタシにはとても魅力的な響き。

小麦粉アレルギーの人でも食べられる小麦として、アメリカやヨーロッパでは結構メジャーなんだそう。

ベルリンに帰って来て早速Bioに買いにいこうと思い、ドイツ語でなんていうのかしらと調べてみたところ出てきたその言葉、"Dinkel"。




...ワタシ、毎日食べてるよ、これ。笑

シリアルもパンも、なるべく"Dinkel"と書かれたものを選ぶようにしているのですけど、それが"Spelt"だったとは知らず。
Dinkelは料理のとっても上手なドイツ人女性に勧められてから自然と手にするようになってたもの。確かに、ヨーロッパ(ドイツ)でメジャーです。


余談ですが、健康食オタクとして最近ハマっているのが「花粉」。
ハチが腰に付けた花粉をおうちに持って帰って保存。その蜂の巣の中から採取された花粉を粒子状にしたものの栄養価が驚く程にすごい。
味はちょっと変わってて苦手な人も多いんじゃないかと思うけど、ワタシはもう大好き。
ヨーグルトに入れて食てます。



日本では簡単に手に入るのかな〜とちょっと思って調べてみたら、値段高っっ!びっくりした。今度帰国するときのおみやげにしよう。笑






Frieze 其のニ

さてさて。
MastersとSculpture Parkを後にし向かうは、今年で10回目を迎えるFriezeLondon。




最終日ということもあって、人、人、人!






で、まず目に飛び込んできたのは、「もう、この1ヶ月のあいだに何回見ただろう。。」と思ったAnish Kapoorの作品。





約175ものギャラリーが世界中から集まる年に1度のこのお祭り。
色んなアーティストの作品を一挙に見ることができると同時に、各ギャラリーがどんな風に作品を展示し見(魅)せているか、ということがとっても気になるワタシ。
その作品を生かすも殺すも、やはり空間は大事だーーーと思うのでした。







で、気になるアーティストの作品には敏感なわけで。








昨年の9月から今年の1 月まで、ベルリンの美術館Hamburger Bahnhofで開催されていたTomas Saraceno。美術館で見たときに衝撃を受けてから他の作品も見てみたいーーと思っていたので嬉しかった。
今年の夏に銀座のエルメスで展覧会があったので、日本でも彼の認知度はあがってきているんじゃないかしらーー。
気になる方は、彼の作品について日本語で要約されているこちらを参考に。空間や時間、重力などの既成概念に問いかける...うん。美術館で体感したのはまさにそれだったなあ。言葉にするとなんかややこしいですが、実際に体感することによって「あれ?」ってなるその"感覚"が彼の作品です。


良いなと思ったスペイン・マドリッドのギャラリーHelga de Alvear




ポルトガル出身のアーティストJose Pedro Croftによる作品。





昨年も思ったことですが、Friezeはなんせ家族連れが多い(日曜日だったし..)
そして、kidsのアートに対する反応がおもしろい。


「お父さん!このアシカが気持ち悪いです」と、訴える子がいたり...






不気味な動きを続ける椅子をひたすら眺める子がいたり...




でもこうやって小さい時から色んなアートに触れられるのはほんとに良いことだと思うし羨ましい!



それから、昨年と比べて変わったなと思ったのが、参加型アート作品。(むしろ去年あったのか?曖昧。)


会場のちょうど真ん中に建てられたコロッセウム型のパビリオン。その中ではGrizedale Artsによる"Harvest Lunch"と呼ばれた食のパフォーマンスが行われてました。






このパフォーマンス、会場で募り集まった人たちが、重さ280kg!(写真)の固まりをスライスしたハムやトマトサラダ、子羊のローストなどなどを頂く、というもの。



Grizedale Artsとは、牧場/オーガニック農園を中心に、さらにアーティストレジデンスやアートを見せる場などを併せ持つLawson Park Farmを拠点に活動している団体。彼らはアートやアーティストと地方を繋ぐプロジェクトやイベントを初め、アーティストの考える哲学やそれにまつわるアイデアなどを日常生活の中に取り込むことによって、新しい創造の可能性をつくっていくことを目的としているんです。


パビリオンを取り囲むようにして小さいお店も出てました。




"Angry Milk"と名付けられたミルク。
ムダなことばっかり決める自治体に対する不満などなど...カップに不満を書いて飲みます。




日本でもどんどん広がっている、地方でできた名産のデザインを新しくして都心で販売するという動きは世界共通。鴨の卵の塩漬けやピクルス、キムチなんてのも置いてました。




Another magazineでのインタビューで、副ディレクターのAlistair Hudson氏が「食がアートの理念を示している。アートはいつも変わらず皆のためにあるべきもの。つまりそれは、ぜいたく品や高尚なものというよりむしろ慣習的に消費されるものだ。」と言っております。
I agree! と、いうわけで、このパフォーマンスとGrizedale Artsに興味深々なのでした。




...最初にMastersを見たものだから、案の定、体力・視力・精神力・思考力もたず。笑





Timo Nasseri良いな〜と思いつつ、「来年も楽しみにしてます〜」と会場を去ったのでした。




















24.10.12

Frieze 其の一

Frieze Art Fair。
毎年、世界中から120を超えるギャラリーが紅葉色づくロンドンに集まります。

そして、今年から新しくFrieze Mastersも加わりスケールアップ!





で、Frieze Mastersって一体なんなの、と言いますと、これはコンテンポラリーアートがメインのFrieze Londonの兄弟として、ファインアートを多く扱うギャラリーを集めたアートフェア。「もっとコンテンポラって良いよ」という粋なアニキのハカライが今年、生まれた訳ですね。

1日で果たして2つの会場を見てまわれるのか。。という不安を抱きつつも最終日に参加。
今年は事前にネットでチケットを買っていたので並ばずすんなり入れました。去年はそれでだいぶと時間をロスしたの。。。ネットで買うメリットはいくつかあって、①自宅でチケットを印刷すれば並ばず入場。②FriezeとFrieze Mastersのコンビチケットはネットでしか買えない。③学生証の有効期限が切れていたけど気にせず学生料金で入場。という。
すでにスケジュールに組んでいる人は絶対に買ってから行くべきだと思います。


まずはMastersへ。


オーストリアのギャラリー「Wienerroither&Kohlbacher」にはシーレやクリムトのドローイング。
クリムトのドローイングを間近で見たのはこれが初めて。線で描かれた女性がほんとにきれいだったーーー。







1950年のAndy Warholのドローイングだけを集めた、ミュンヘンとロンドンにギャラリーをもつ「Daniel Blau








"n.t (Boy looking up)"





"n.t (Portrait of a man)"



この作品...竹中直人か、田中要次か。あ、好きな俳優さんです。




やっぱりドローイングが好きなワタシ。。。と振り返ってみて思ったのでした。



でも、写真を中心としたロンドンのギャラリー「Eric Franck」がとても良かったです。今回のMastersで誰の作品が展示されていたのかは正直覚えていませんが。笑 どれもすてきだわーーーーと思いながら見ていたのは確かです。ちなみに、京都の写真家・故浅野喜市氏もこちらのギャラリーに所属していて、他にはEnzo SellerioやLottie Daviesなどなど、ワタシの心掴む写真家が多いんですーー、ここ。




それから、1960年代に日本で発足した『もの派』をフューチャーしたこちら。





「自然」と「人工」が融合されてできた「もの」に対する新しい概念の構築、というテーマのもと、関根伸夫やリ・ウーファン、菅木志雄らによって創られた作品がギャラリー「BLUM&POE」で展示されていました。


こんなところで『もの派』の作品を見れると思っていなかったのでびっくり!壁には、『もの派』とは一体何か、というキャプションも書かれていました。こうやって日本の何かが紹介されているのを見るとやっぱり嬉しいワタシ。




そんなこんなで、Masters良いやん!と、満足。



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そして初めて歩いたRiegent Park内。




お天気に恵まれていたので、休憩を兼ねて公園内をお散歩。
すると見たことある作品が。。。





今年のdOCUMENTAにもあった、Anri Saraの"A Clock"。
ちょっと、真正面から撮ってよと言われそうですが、真正面がどこなのか分からない作品ですのでご了承願います。


2つの会場との間にはFrieze Sculpture Park。





草間のお母さんもやっぱりおりましたです。






そしてFrieze Londonへ、


つづく。





















23.10.12

濡れない雨

ロンドンのBarbican centerで体験できる、濡れない雨がおもしろかったです。






2005年にStuart Wood、Florian Ortkrass、Hannes Kochの3人が立ち上げたrAndom。光や動作によって生まれる反応や相互作用に特化する彼らが新しく提案するインスタレーションがこちらの"Rain Room"。一瞬一瞬を雨と自分がコミュニケーションしているようで、「雨と会話してる!」って感じたこの作品。自分が好き勝手動いても雨はちゃんと答えてくれず濡れちゃうのだけど、相手にちゃんと伝えようという想いで自分が接すれば、雨には濡れない。そんな風にワタシは捉えたのだけど、他の人はどうだったんだろう?たぶんそれも、この雨との接し方次第でひとりひとり違うんだろうなあ。
とにかく、2時間半並んだかいがありました。笑



Nick Knightの花

MayfairにあるギャラリーShopでは今、Nick Knightの"Flora"シリーズを公開中。






ま、ここ、彼のギャラリーなんですけどね。

2000年11月にNick Knightが立ち上げた、fashion filmを中心とした、fashionにまつわるあらゆるcreativityと人々を繋ぐオンラインのプラットフォーム"SHOWstudio"
ここShopは、ハイファッションやアート、デザインを展示するための場。


そのShopにて、12月21日まで開催される展覧会"Flora"がすてきなんです。
1993年にNickがロンドン自然史博物館で行ったインスタレーション、"Plant Power"
これは、自然史博物館に貯蔵されている6万種を超える中から選んだ植物を、Nickが3年半かけてマッピングしたもの。
そして15年の時を経て世に出たこちらの"Flora"という作品は、その中(オリジナルは46種類)から選んだ15種類の作品を集めたポートフォリオ。






Nickが少しだけこれについて語っている動画を発見。








たまたま同じタイミングでギャラリーに入ったおばあちゃん。目が合った瞬間に、「美しい作品ね〜。パーフェクトだわ。」というおばあちゃんの感想から始まり、このあと2人であれこれ作品についておしゃべりしたのでした。笑
とにかくもう、色がきれい。フォトグラファーのNickが最も注力しているのがプリント。こちらの作品も最新の技術と最高のクオリティで仕上がっていて、350年はこのままをキープできるんだとか。





ちなみに全然違う日に、お手洗いを借りるためだけに(ごめんなさい。笑)入ったロンドン自然史博物館。こんな、アトラクションチックな内装だとは知らず、思いのほかワクワクしたのでした。そのままワクワクひきずって長居しちゃったのでした。


16.10.12

ポスト・フィッシュ&チップス

ランチタイムにロンドンに到着、まっすぐ向かったのがBurger and Lobster




先日までロンドンに訪れていた友人いちおしのココ。いつもやたらと混んでいて、ランチタイムには行列もできちゃうとか。ワタシは時間的にちょっと早かったので並ばずにすんなり入れちゃいました。
メニューは3つのみ。ロブスター。ロブスターロール(サンドウィッチ)。バーガー。どれも£20。バーカウンターがあって、お酒の種類も豊富。みなさまお昼間からバーガー片手にスコッチ。もーう、ロンドン〜なんて思いながらビールを頼むドイツ在住。
ここはいっちょロブスターをオーダーして(blog的に見栄えになるし)、、、なんて考えながらも、身を殻からはがすのが大の苦手&めんどくさいのでロールをオーダー。笑 案の定、見栄えする写真は撮れず。
が、そんなのおかまいなしのおいしさ!サイドにはサラダとフライドポテト、それとサンドウィッチにかけるレモン×ガーリックバターソース。このmelted butterにやられました。おいしすぎました。(この後、バターかけすぎで胃もやられましたが)
つい先日、ここMayfairに次いでSohoにもお店がopen。
魚介類食べたいけどフィッシュ&チップスは嫌だ。という方はぜひこちらのロブスターを。




ちなみに、お店オリジナルのコミックを発見。マーベル的雰囲気むんむん。でもロシア語だったから全然読めなかったんですけどね。







10.10.12

犬好きに、憂いなし?

とある休日。
ベルリンから車で30分。
ポツダムへ行ってきました。

と、余談ですが、実はこの前夜にもポツダムへ。
Nikolaisaalで行われた、坂本龍一とAlva Notoのコンサートに行ってきたのです。
このNikolaisaalは2000年にフランス人建築家Rudy Ricciottiによって新しく生まれ変わり、その空間で奏でられる音の響き、つまりは音響が本当に素晴らしいとドイツでもちょっと有名みたいです。
前回、ワタシが教授のコンサートに参加したのが昨年の秋(だったはず)。ハンブルクで開催されたチェロとバイオリンデュオとの共演。これがもーー素晴らしくて。ちなみに、このトリオ、今冬に日本と韓国でツアーがありますよー。ワタシはその頃まだベルリン。。。残念。
で、ドイツ人現代音楽家のAlva Notoとのツアーも去年はベルリンでも開催されて、行った友人によると「とても良かった!」と。なので次もし機会があったら絶対に行くと決めていたので、運良く前日にこのコンサートがあることを知りドイツ人の友達を誘って見に行ってきました。が、うーーーーん。ただ単に、ワタシの趣向には合わなかったという単純明快な「微妙だった」という感想。CDで聴くのは大好きなんだけどなあ。きっとあの電子工学的音とピアノの音のレイヤーが違いすぎて、水に油注いでるような感じが猛烈にワタシは受け入れられなかったという。はい。よく分からなかったんですね、正直。ただCDになると音が限りなく一線上に集まろうとしてるでしょう?そんなことない?だからなんとなくそんなに違和感はないんだけど。。。
...でも会場で聴いたようなものが、先いく人たちの、これからの音なのかしら。ふむ。



ポツダムに行ったよ!っていう話でしたね。戻します。


いろーーーんな人から「ポツダムはほんまに良いところ!」と、太鼓判押されまくりだったので、いかなるものかと思いつつも、いつもここで期待して裏切られるということを過去25年間(と、つい前日の夜)に小さなおつむが学習していたので、わくわくを最小限にキープしながら向かいました。


一緒に行った友人もポツダムに詳しいわけではなく、とりあえずサンスーシー行っとく?的なノリでサンスーシー宮殿へ。




着いてみると、
まーすてき!

いまにもエンジェルちゃんたちが降りてきそうなその雲の合間から注がれるお日様がとっても気持ち良くて「うん、良いとこや」とまだ噴水しか見ていないのに、あっさりみんなの意見を受諾。


そして歩く歩く。ひたすら庭園の中を歩く。っていうか迷子。

気付いたらふつーの住宅街に出てしまったワタシたち。とりあえずおコーヒーでも飲もうとなりカフェへ。
テラス席がいっぱいだったのだけど、天気が良いのに中に座るなんてありえない!と強引に、ひとりで白ワインと新聞を嗜むおにいさんのテーブルに相席させてもらうことに。
ワタシがカメラを触りながら良い写真が1枚も撮れていないことにうんざりしていたら、そのおにいさんが「写真好きなの?」って話しかけてくれて、「好きだけど、全然うまく撮れなくて」って、てへぺろ的に発言したにも関わらずワタシの話には全然興味がないらしく、勝手に人の写真をパチリ。
写真に撮られることが大の苦手のワタシになんの承諾もなしに撮るなんてと呆れていたらおにいさんが、「これかけて」と、ワタシに手渡したもの、それは3Dメガネ。

青と赤のフィルムのついた限りなくクオリティの低い紙製のあれです。

これです。




え〜まさか〜
と、おにいさんが撮った写真をこのメガネをかけて見てみると思った通りの3D。笑
そして、TOSHIBAの3Dカメラを嬉しそうに解説してくれました。
さすがジャパンだね!と、褒められてるんだかなんだか分からない複雑な心境でとりあえずサンキューと言ったが、ワタシはあの(時間や物質や全てのものが)フラットであるからこそ生まれる深さや奥行きを感じることのできる写真というものに心惹かれているので、正直、3Dとかいうものがイチミクロも良いと思えない。
そういえばワタシのオパ(祖父)も、3Dテレビが発売開始されて我先にと購入していたけれど、(当時SONYの3Dメガネはひとつ10000円くらいしたはず。ワタシは「いらない」と反対した。笑)そのメガネ、重いし暗いし、しまいには気分悪くなるしというどうしようもない始末。
「やっぱ普通でいいよね」っていう結論を出すのに時間はかからなかった。実際にいまのテレビ市場もそれを物語っているんじゃないのかしら?売れてるのかしら?ま、テレビも見ないし興味ないけど。


「ぼくのwebで写真みれるから!」と、さわやかにそのメガネをくれたおにいさん。
後日ちょっと検索してみると、おにいさんが「3Dフォトグラファー」ということが判明いたしました。



話がややずれました。

そもそもポツダムに着いたのが15時すぎ、カフェでかれこれ2時間。
で、やっと見つけた宮殿らしきもの。そして人も入れる様子を確認。




こちらが、新宮殿。サンスーシ庭園の中にいくつかある宮殿のひとつ。
どうやらメイン?のサンスーシ宮殿は、噴水にはしゃいでいるあいだにスルーしてたみたいです。

ちなみにこのサンスーシという名前はフランス語で「憂いなし」という意味だそう。

ここ新宮殿では10月28日までフリードリッヒ2世の生誕300年を記念した展覧会が開催されています。この中を見たかったワタシは迷わず入場。そしてその展覧会、想像を超えてとてもおもしろかったです!!!
フリードリッヒ2世のセンスの良さ、犬好きなこと、そして生活スタイルとそれを取り巻く人間関係などの歴史が、分かりやすく展示されていました。
オーディオガイドの解説も、ただ事実をべらべら語るんじゃなくて、ちょっとしたジョークやユーモアなの、そこからもフリードリッヒ2世がどんなキャラクターだったのかが伝わっておもしろかったです。
展示方法も、テーマごとに色分けされていてとってもシンプル。タイポグラフィやデザインもすてきでした。よくある「歴史の陳列」ではなく、「見せる、伝える、そして魅せる」がそこにはあって、たくさんの人が楽しめるんじゃないかと思いました。

「伝える」を学びたいワタシとしては、とっても参考になったのでした!








あっというまに時間は過ぎ、サンスーシ庭園は昼間とは違うしっとりとした空間に。
さりげなく撮った写真が、ワタシの大好きなドイツ人アーティストLotte Reinigerの作品のようでちょっと嬉しくなっちゃった。






ポツダム、
今度はまた違う場所にも遊びに行ってみよーっと。






21.9.12

刻まれた記憶






ベルリンやヨーロッパの街を歩いていて、「おや?」と思った方も多いはず、この金のプレート。
しゃがんでよく見ると、そこには文字がかかれてます。




HIER WOHNTE
「ここに住んでいた」
DIETER HOHENSTEIN 
「ディーター・ホヘンスタイン(名前)」
JG. 1934 
「1934年生まれ」
DEPORTIERT
34. OSTTRANSPORT 
「34回目の強制送還にて収容」



そう、これはドイツで最も悲惨な歴史を刻んだプレート。
ナチスによって大虐殺されたユダヤの人々を想って埋められた慰霊碑なのです。


『ヨーロッパの石畳の道で、他の石より少し飛び出ているその金色のプレートに躓いたとき、
人々はふと、そこに記された個人の名前を通して歴史に触れることができる。。。』


そんな意味を含んだこのプレートはStolpersteine、「躓きの石」と呼ばれています。


ドイツに来てかれこれ1年を過ぎたとある昼下がり、
ワタシはこの石に躓いたわけです。

そこから知った、その歴史。

1941年から1945年の間にベルリンでは計61回の強制送還が執行されました。
このプレートに記されている"34"という数字は
1943年3月4日に行われた34回目の送還だということを意味します。
ディーター・ホヘンスタインさんは、
その日アウシュビッツに送還された1120人の内の一人。

その人がいつ生まれ、そしていつ悲劇の巻き添えとなったのかが記されているこの石は、
かつてその人が住んでいた建物の軒先に埋められているんですね。





1941年に約6万6000人のユダヤ人がベルリンに住んでいたのですが、
この61回にもおよぶ"Osttransport"(東ベルリンからの送還を指す名称)によって約3万5000人が虐殺されたのです。
ベルリンからはこの"Osttransport"の他に、主に老人ばかりを集めた"Alterstransporte"も執行され、
これによってさらに約1万5000人ものユダヤ人がチェコのテレージエンシュタットに送還、虐殺。
強制送還から逃れられたとしても、迫害によって自殺をした人たちも多く、
1945年の5月時点で、ベルリンに住んでいたとされるユダヤ人の数は約7000人と記録されています。


さて、誰がこの「躓きの石」を埋めたのか?
それは、ベルリン生まれのアーティスト、グンター・デムニク氏。
1947年生まれの彫刻家の彼がこの「躓きの石プロジェクト」というアイデアに着手したのが1993年、
その4年後の1997年にベルリンでひとつめの石がクロイツベルク地区に埋められました。
現在、ベルリンには1500を超える石が埋められているそうです。


このプロジェクトはベルリンを初めとしたドイツ全域、、だけに留まらず
オーストリア、ハンガリー、オランダ、ベルギー、チェコ、ノルウェー、ウクライナと
ヨーロッパ全土約610の市町村でこの石を見つけることができるとのこと。
しかーし
プロジェクトにあまり賛成ではない市町村もあって、そこには賛否両論、「歴史を語る」と簡単に言えない問題も色々あるみたいです。。。

が、このプロジェクトは、デムニク氏の想いに共感し自分にも何か出来ないかと立ち上がった人々の寄付金(120ユーロで石をひとつ埋めることが可能)によって、
これまでにもたくさんの市民や自治体が参加し、たくさんの人がその石を通して歴史を知ることができているんですね。


ドイツを中心としたヨーロッパの人々は、過去に起こった悲惨な歴史を日常生活の中に刻み、
人々の心にいつも語りかけることを積極的に行っていることを知ったのでした。
実際に私もこの石を通して、こうやって歴史をちゃんと知ることができた訳で。。。

そうゆうこと、日本でももっとできないのかしら!!!




忘れてはいけない過去と、今を生きる私たちを繋ぐ「躓きの石」
近々、石を埋めるイベントに参加するので後日そちらのレポートもぜひ。


つづく。



24.8.12

あたしはじゃあシンデレラかな


ベルリンに越してきて約4ヶ月。。
いろんな人に、「行ったことないの!?」と言われ続けていた公園、マウワーパークに先日ついに足を運びました。笑
日本じゃ出ないと思われるこの会話、「あの公園、行ったことないの!?本気!?」って。


毎週日曜日にこの公園のすぐ横で開催されるフリマが大きくて有名なんですね。
って、あたしはど平日に行ったんですが。


みんなBBQをしたり、音楽をかけてごろごろしたり、本を読んだり。。。
すてきな午後のすてきな過ごし方ですね、きっと。


日曜日はすごい人だそうで。
このステージもカラオケで盛り上がるんだとか。




平日だったので、おじさんがひとり、ドイツ語で歌ってました。
それがなかなか良かったんですね。
チップ、はずんじゃった。



公園で過ごす時間なんて日本にいたときはなかったので、ベルリンでこういう時間を過ごすと、なんだか新しい心境なわけです。
そしてそれがなんだか好きなわけです。







なーんて思ってるそばで、
白雪姫たちがキャンディーでおにいさんをぼったくろうとしていた、とある夕暮れでした。




14.8.12

ハコ

Paul McCarthyを見に行こうと誘われ、どきどきしながら行ってきました。
だって、彼の作品はどれも、こう、見ちゃいけないものを見ちゃったような気分にさせるんですものっ。




が、ベルリンのNeue Nationalgalerieで開催されている彼の展覧会は、違った意味で「あらあら」となったのでした。





見てのお楽しみ、ってやつですね。笑



ああっそれから、外にある、馬のうんちもお見逃しなく。(これはPaulじゃないけど)









そのあとKreuzbergでまったり。
日本にいたときは、こうやって川を眺めて緑の上でのんびり・・・なんて、絶対なかったよなあとつくづく思う。。。
いまではお天気が良い日はいつもこんな感じ。





livingroom

Prenzlauerbergにある"Wohnzimmer"(living-room)という名前のついたカフェで読書。
ここはテーブルもチェアもすべてアンティーク。
お店の中はけっこう広く、家具も全て色や形が違うので、「きょうはここっ」って気分で選んで座っちゃったり。
奥にはプライベートルームもあったりなんかして、色んな使いかたができそうです。
コーヒーもおいしい。Bioのケーキやサンドウィッチなども頂けます。
カフェバーとして、夜にふらっと来たりも。

KreuzbergやNeukölnが最近はおもしろいよーーとみんな口を揃えて言いますが、Prenzlauerbergには落ち着けるカフェがたーくさんあるので好き。





Letterstraße 6, 10437 Berlin

10.8.12

Prinzessinnengarten

とある午後、地下鉄に乗ってKreuzbergに位置するMoritzplatzへ。
向かった先は、"Prinzessinnengarten"(Princess's Garden)

大きなスーパーマーケットがあった跡地が長ーい間放置され、ゴミ置き場と化していた場所を2人のアメリカ人が2009年に緑と人々の集まるすてきなガーデンを創ったのでした。



ガーデニングをする場所をレンタルできて、植物さんたちを購入して、「小さいけれどマイガーデン」を持てちゃうんです。
お野菜や果物、ハーブやお花と種類も様々。






3年前に、Robert ShawとMarco Clausenが"Nomadisch Grün"(Nomadic Green)という、Non Profit Company(NPC)、いわゆる非営利型株式会社を設立。
そこから始まったこのプロジェクト。
ふたりともガーデニングの知識は一切なかったらしく、「とにかく、始めよう!」と思いたってできたもの。
とあるインタビューでも彼らは「何かを始めるのに、プロフェッショナルである必要はない。大事なのは"何かを始める"ってことなんだ」って。



ちなみに非営利型株式会社とは、適正に給与や役員報酬などは支払われますが、それ以上の過剰利益を全額、地方公共団体などに寄付する、、という形。
営利目的だけの株式会社はその過剰利益も報酬として内部に還元されちゃうし、非営利組織(NPO)だと資金の問題や持続可能さが脆弱だけど、このNPCは自身の会社の持続と同時に外に還元して循環させていくという、オータナティブな、今の時代にあった形だと思うなあ。













約20人がレギューラーで働いているらしいのですが、他にもたくさんの人が携わっています。

お外が気持ち良い季節には週2回、オープンガーデン(ワークショップ)が開催されていて、ワンシーズンで100人を超える人たちが参加するんですって。
ところで、冬はマイナス20度近くになるベルリン。
夏は楽しく緑を楽しむひとたちはたくさんいるけれど、冬にもちゃんとケアをするっていう責任感は大きい。。。(だから未だに、軽々しく「ガーデニング〜」とか言えないワタシ。笑)
「Babyだと思わなきゃ」ってMarco氏。確かにね、そう考えると、夏だけ遊んで冬に放置なんてできないできない。。。






木陰にさりげなく差し込むお日様がとーっても気持ち良いここの空間。
ここで育てられたお野菜などをメインで使っているランチやディナーも頂けちゃいます。
ここにマイガーデンを持っている人は、自分の育てたハーブを採ってきてハーブティーを飲めちゃったり。。。


都会に住みながらも、こうやって緑とふれあえて、自分で育てたものを頂けるって、すてきだわーーーー。
こういったプロジェクトは、色んなところに広がってますね。
最近は日本でもよく耳にするものねー。





それから、非営利型株式会社という言葉はここドイツに来て頻繁に耳にするようになりました。
日本はどうなんだろう?
『適正な給与』とかいった類いはなかなか難しくて、それを取り締まったり管理するセクターがないと結局あやふやで、「良いことしてる風」だけが萬延しちゃうっていう、
日本でよくある残念なパターンになるケースが安易に想像できるっ。。。笑


わたしはまだまだ無知なのでこんなことが言えてるんだけれど、、、非営利型株式会社という仕組みはすてきだな、と思うのでした。



Prinzessinnengarten:
http://prinzessinnengarten.net/about/